東京高等裁判所 昭和53年(ウ)1124号 決定
二 申立人は、申立人相手方間の東京高等裁判所昭和五三年(ネオ)第六二号損害賠償請求上告受理事件(相手方の上告取下により終了)につき東京地方裁判所に訴訟費用負担の裁判及び訴訟費用額の確定を申立てたところ、(同庁昭和五三年(モ)第四七四六号訴訟費用額確定決定事件)、同裁判所は同事件を当庁に移送する決定をし、当裁判所は、右上告受理事件の訴訟費用の負担の裁判及び訴訟費用額の確定をすると共に、右訴訟費用額確定決定事件について申立てのあった費用項目について額の確定決定をしたものであるが、本件申立ては、右訴訟費用額決定事件においてなされた移送決定に関する訴訟費用の負担の裁判及び額の確定を求めるものであって、右事件係属中に申立人が申立てておれば右の訴訟費用についても裁判を受けられたものである。しかしながら費用額確定決定の既判力は審理の対象とされた個々の費用項目についてのみ生じ、申立てのなかった費用項目については生じないと解するのが相当であるから、申立人が計上漏れとなった右移送決定に関する訴訟費用について裁判を求めるのを不適法とすることはできない。この点に関する相手方の主張は採用できない。
三 そこで右移送決定に関する訴訟費用の負担について検討すると、右移送決定は訴訟費用額確定手続中の裁判であり、右確定手続においては申立人は勝訴したものであるけれども、右移送決定は申立人が管轄の判断を誤って東京地方裁判所に申立てた結果によるのであって、右決定に関する訴訟費用は、申立人の権利の伸張に必要でない行為により生じたものであるから、民訴法九〇条により申立人に負担させるのが相当であり、相手方に負担させることはできない。
(渡辺 糟谷 浅生)